伝統卵油を再現した「野本の卵油」

卵油をつくり続けてもうすぐ70年

夫の健康への思いが「野本の卵油」の始まり

1954年(昭和50年)の秋、野本のぷち卵油の創始者、野本方子は静岡県田方郡韮山(現伊豆の国市韮山)の地において、卵油を抽出することに成功した。
きっかけは簡単なことだった。夫である野本二士夫に不整脈があること、それを原因として体力が日々落ちていくのを目にしていたこと、なんとか元気を回復させたいと考えたことからだった。
当時、健康食品という言葉すらあまり人々の口にのぼることは少なかったが、家庭に於ける実際的看護の秘訣という大正年間に発刊された本を座右に置いていたことが「卵油」に目を向けさせることに。
鉄鍋に卵の黄身を入れ、弱い火にかけて炒り上げていくことで抽出できるということは近くのお年寄りから聞いた。卵黄をただ炒り上げるだけなら簡単だろうと考えたのが間違いのもと。なかなか抽出できない。真っ黒になり炭のようになってそれだけである。試行錯誤と失敗の連続の中からやっと卵油がにじみ出るようになってきたのは、秋も深まり、韮山の地の山々が紅葉に染まる頃だった。初めて挑戦してから半年が過ぎていた。

「卵油」は卵からつくられる驚異の健康食

そして、この卵油をスプーンにすくい飲ませてみると、野本二士夫の顔にみるみる生気が蘇ってきた。不整脈が消えたのは、それから間もなくのことであった。
(二人は考えた。)こんなに良いもの、すごいものなのにあまり知られていない、そんなものがあるということすら知らない人が多いと気がついた野本二士夫は、卵油のつくり方を教える全国行脚をしてみようと考えた。これが「手づくり自然食友の会」の始まりであり、その後展開する『卵油つくり方教室』の母体となりました。

昔からつくられてきた日本独自の健康食

卵油は、江戸時代から民間薬として伝えられてきたともいわれますが、日本中に知られるようになったのは、どうやら大正時代に発刊された家庭の医学書赤本(『家庭における実際的看護の秘訣』)のおかげであったようです。
野本二士夫は身体を弱くしたときに、妻・方子の手づくりの卵油を飲んで回復した経験があったので、卵油で命拾いをしたことを知人に説き、卵油のつくり方を教えて差し上げるうちに、いつの間にか、「つくってみなされ、試してみなされ、真似してみなされ」と言いながら全国に卵油を勧めて歩くようになっておりました。これが「野本の卵油」の始まりとなりました。

画像をクリックすると縮刷版の赤本がお読みいただけます。

自然素材から丁寧に手づくりされる「野本の卵油」

野本の卵油の原料は
富士山麓の大自然が育んだ養鶏場の卵です。

手づくり自然食友の会では卵油の高い品質を常に一定に保つため、昭和59年7月、静岡県の富士山麓に提携農場を設けました。ここで飼育された健康な鶏が産む卵を原料に、野本の卵油はつくられるのです。鶏たちは標高600m御殿場高原の恵まれた自然の中、元気に暮らしています。また、富士の地下水を汲み上げた天然水を飲んで、厳選した飼料を食べています。

陽の当たる鶏舎で薄飼(土上飼育)

養鶏場では鶏の育成環境にもこだわり、日光と自然な空気を取り入れた開放鶏舎を採用しています。御殿場の澄んだ風が通り抜けるそんな気持ちのいい鶏舎で、鶏へのストレスができるだけ少なくなるように配慮し、自然に近い形でのびのびと育てています。また、乳酸発酵混合飼料 P.Bio-2飼料に添加することによりお腹の中の調子が良くなり、動物本来の健康状態が維持されます。また、農場内や畜舎内に散布することで、土着菌と共生的に増殖し農場全体への定着が行われます。

「卵油」を手づくりする方法

卵の黄身だけを根気よくじっくり煎ってください

野本の卵油のつくり方は皆さんに教えています。もちろん、手間ひまかける手づくりです。野本の卵油のつくり方は皆さんに教えています。
卵油は、鶏卵の黄身だけをフライパンなどで根気よく炒ってつくります。飲むのは手軽ですが、つくる方は大体2時間位かかります。初めての方は面倒に感じるかもしれません。しかし1、2度失敗したとしても要領がつかめれば、必ず誰にでもつくれるようになります。また1回に採れる量は少量ですが、1度つくっておけば2〜3年は保存できます。ですからなるべくたくさんの卵でつくった方がよいのですが、初めての場合は10個ぐらいが適当でしょう。つくる際には、煙がたちこめ臭いも出るので、髪の毛や衣服のカバーのためのマスク、エプロン、三角巾などで身繕いし、手がかなり熱くなりますから軍手などをご用意ください。
道具は、油ぬきした鉄製フライパンと、きべら、できた卵油を濾す茶こしか、こし布。それに卵油を入れる容器で準備は完了です。
卵を割って黄身だけをすくい出してください。それをフライパンに入れて熱し炒めます。火加減は弱目の中火です。炒り卵の要領で丹念にかきまぜていくと、次第に黄身がポロポロになってきます。それをべらで押しつぶすように炒り続けていくうち、黄身の水分がとれ乾燥した大きなつぶ状態になってきます。さらに炒り続けると、全体がキツネ色から濃い茶色に変化してきます。徐々にこげくさい濃い煙がたちはじめます。少しずつベトベトしてきます。ここまでくればもう完成間近。あわててかきませないことです。つくりはじめて約2時間。少しずつ、じわっーと黒い液体がにじみ出てきます。この液体が卵油です。

※出てくる量は、ほんのわずか。卵黄10個で大さじ2~3杯位が目安です。
※できあがった卵油は、残りカスを取り除いて熱いうちに濾して容器に入れます。